〜after story〜

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〜after story〜

「あーあ、これ本当にいいのかなあ」 「良いんだって」 「でもなあ、これ」 「いいのいいの」 ひなたがかかとの折れたパンプスを、くるくると新聞紙で包んでいく。 「……弁償」 「そんなことナガトさん、一言も言ってなかったよ」 「でも、俺のせいだよな」 大同がパンプスの折れたヒール部分を、摘まみ上げる。 「アロンアルファでくっつかねえかな」 「無理無理」 「うわーん、マジでごめんなさーい」 「大丈夫だって」 ひなたが笑いながら、大同からヒールを取り上げる。くるくるとパンプスを巻いた新聞紙の中に、一緒に放り込んだ。 「こんなものもう要らないっ」 「パンプス、キツかったんだな」 「本当だよ、あの黒メガネやろうっっ。こんなクツ、履かせやがってっっっ」 「うお。ブラックなひなちゃん、出た」 「こうしてやる、こうしてやるっっ」 ひなたが新聞紙をぎゅうぎゅうと丸める。ガムテープでぐるぐる巻きにすると、ふーっと息を吐いた。 「そんなにこのパンプスのこと、憎んでたんだね……」 大同が苦笑しながら、ゴミ袋を広げている。その中に持っていた新聞紙の塊をポイっと捨てると、ひなたはニコッと笑って言った。 「でも、いいんだ。ステージで堂々と匠さんに抱き締めて貰えたから」 「いやあ、まさか俺もあんなことするなんて自分でも何やってんのかよくわかってないっていうか、なんというか……バカ?」 「ふふ、」 ひなたが不敵な笑みを浮かべながら言った。 「でもこれで、匠さんに近づくモデルどもを牽制できたもんね。だから、結果オーライだもんね」 大同が呆れた顔で手を伸ばす。ひなたの唇をちゅうっと吸うと、おでこをひなたの額にくっつけて笑った。 「ははっ、それどこじゃないっての。俺こそ、全国放送でひなちゃんは俺のもんって、宣言できたもんね。だから結果、……」 二人で笑い合う。 「オーライだっつーの‼︎」 そして唇を重ねながら、いつまでも笑った。 Fin
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