二人の関係

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二人の関係

真人『清原さん、少し酔ってるみたいだね。今タクシー拾って上げるから』 彼はそう言って走ってきたタクシーを止めた。 強引にタクシーに乗せられた彼女は少し不服そうに私を見た。 タクシーの運転手に1万円を手渡しこれで頼むと言ってタクシーは去っていく。 彼が私の方へ振り返り 真人『さぁ、帰りましょうか』 と、言って彼の車でマンションに戻った。 私『清原さん、もしかして真人さんに気があるんじゃないですか?』 そう彼に言ったが 真人『彼女はああいうタイプだから別に僕じゃ無くても良いんですよ。そういう女性を僕は相手にしませんし』 きっぱりそう言い切った彼を見て安心した。 それから数日私は何をするでも無く何の不自由もない毎日を過ごしていた。 まだ彼が新規事業を起こすには色々準備が必要だと言って私に家に居てくれるだけで良いと言ってくれた。 彼からスマホを持たされた。 凄くマメな人で1日に何度もLINEがくる。 私は私なりにスマホでホームレスの人や家出した人の身柄や虐待に苦しむ声なき声について調べ、何をするべきかを模索していた。 彼が本格的にそういった弱者の為の施設を運営していくにあたって私は私の仕事をしなければならない。 着信音が鳴り彼からLINEが来た。 「今夜職場の人を家に呼んで少し会議するから申し訳ありませんがリビング使いますね」 職場の人…誰が来るんだろう…またあの清原里見さんも呼ぶのだろうか…なんか気が重い…彼女は何か嫌な予感がしてならない… 私は憂鬱な気分でソファーに横になった。 彼から夕方の17時を回った頃にLINEが来た。 「仕事が終わったので皆を連れて帰ります」 それから約1時間程して玄関先が賑やかになってきた。 私は玄関で出迎えた。 彼は普通に「ただいま」と帰ってきたが、他の人達の反応は少し唖然としている。 前回集まった顔ぶれの5人皆が一斉に私を見た。 清原『和代さん…先に来てたんですね』 清原里見(きよはらさとみ)が表の表情は笑顔でそう言ったが内心はおそらく外の感情があっただろう… そして鷲尾賢一(わしおけんいち)も 『和代さん、お久しぶりです』 と、あのやらしい目付きで言った。 彼が 真人『さぁ、皆入って入って』 と一同を促し皆リビングのソファーに座った。 真人『今日はお寿司を頼んであるので食べてから始めましょうか』 この会議はここで定期的にあるのだろうか?そうだとしたら私がここに住んでいることがみんなに知れてしまう… 彼はそれで良いのだろうか? 一同が集まって10分程して出前の寿司が届いた。 かなりボリュームのある寿司を皆で囲って食べる。 私と彼はリビングのテーブルだけでは狭いのでダイニングテーブルで二人で食べていた。 皆が食べ終わり落ち着いたところで会議が始まった。介護の方ではなく、新規事業に関しての話で着々と段取りが進んでいるようだ。 そして一時間を越える会議が終わり一同解散となった。 彼が皆を外まで見送り去っていくなか、また清原里見が 清原『和代さんは家どこですか?』 と聞いてきた。 そこに彼がすかさず 真人『彼女はこの近くだよ。僕が送るから心配要らない』 そう言ったが 清原『あっ、じゃあ私が送って上げますよ。一緒に行きましょう!』 困った展開になってしまった… というより、彼と私二人だけになるのが面白く無かっただけであろう。 彼が仕方なく 真人『じゃあ二人とも家まで送るよ…僕の車に乗って…あっ、車のキー取ってくるからちょっと待ってて』 そう言って走って鍵を取りに戻って行った。 清原里見が 清原『和代さん…もしかして…社長と…』 清原里見は完全に私たちの関係を疑っている… 私達が男女の関係であるとしたらチームとしていろいろ支障が出てしまうのではないだろうか… 今彼が居ないタイミングで聞いてこられると私はどう対処していいのかわからない… 私『ん?なぁに?』 とりあえず徹底的にはぐらかそうと決めた。 清原『いえ、別に何でもありません』 彼女は不信そうな表情からニコッと笑ってそう切り返した。 そのすぐあとに彼が走って戻って来た。 真人『さぁ、行こうか』 三人は彼の車に乗った。 真人『清原さん、家の住所教えて』 清原『はい、◯◯◯◯町◯◯丁目◯◯◯◯です』 彼は彼女の住所をナビに設定した。 清原『あの、先に私ですか?』 真人『そうだよ、和代さんは近くだから帰りに送るから』 清原『そう…ですか…お願いします…』 明らかに不服そうだ。私を先に送り、彼女の家まで二人になれるという期待があったのかも知れない。 もしかするとその先まで… 彼女の家に着き彼女を見送って車を発進させた。 私『真人さん…私があなたの家に住んでいるといろいろと弊害(へいがい)があるのではないですか?』 そう訪ねると 真人『もし、皆が僕らの関係を知ることになったら僕からちゃんと説明するから心配は要りませんよ』 そう言って優しい眼差しを私に向けた。 真人『和代さん…僕らって…どういう関係なんでしょう?』
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