小悪魔からの電話

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小悪魔からの電話

真人『和代さん…僕らって…どういう関係なんでしょう?』 そ…それは…こっちが聞きたい…質問でしょう… 私達が男女の関係なのかどうなのか凄く微妙なラインで、ずっとモヤモヤしてたんだから… あなたの気持ちがハッキリわからないし、思わせ振りな態度ばかりで生殺し状態にしといて聞いてくる~? 彼が続けて 真人『和代さん…僕のこと…どう思いますか?』 私『真人さん…それ…前にも私に同じ質問して…そして途中ではぐらかしました。私はずっとその質問の意味を…考えてました。 どうとは…どういう意味で聞いてますか?』 真人『あの、僕を…男として意識出来ますか?』 これは…この展開は…この後二人は付き合うことになるということなのだろうか… ずっと切望してきた想いが成就するということなのだろうか… ずっとずっと待っていたのに、なぜこんなにも… 私『真人さん…私…最初から…あなたのことを…意識してましたよ… なのに…あなたは私の気持ちを知ってか知らずか…ずっと焦らすばかりで…』 真人『和代さん…僕と…』 そう彼が言いかけた時、彼の携帯が鳴った。 ピロピロピローン…ピロピロピローン… 彼は携帯に目をやり、 真人『ちょっと…すみません』 そう言って電話を持った。 真人『清原さんです…ちょっと待っててください』 なんというタイミングで彼女から電話がかかって来るのだろう… まるでどこかで監視してるかのような最悪なタイミングで 彼女は魔女なのかしら… 彼が彼女と話している。 真人『え?財布?車に?わかった、探してみる…もしあったら明日渡すよ… え? これから? いや、今日はもう遅いし………そうなんだ…うん……うん……わかった…』 彼の声は段々とテンションが下がっていった。 真人『和代さん…彼女が車に財布を忘れたらしくどうしても今日必要だと言うからちょっと車を探してくる。そしてこれから取りに来ると言っている』 私『一緒に探します』 真人『ありがとう、じゃあお願いします』 二人で車に向かった。 暗いのでスマホのライトで照らして探す。 座席の足元に彼女の財布があった… そして… 白い紙も… 私『何か紙も落ちてます…何でしょう?』 その紙を彼に渡した。 二人はとりあえず部屋に戻った。 彼は彼女に電話をかけ財布があったことを伝えた。 彼が紙を確認している。そしてその紙の書かれている内容を読んで…徐々に険しい表情に変わっていった… 私はそんな彼の表情に不安になり尋ねた。 私『彼女…から手紙ですか?』 真人『はい、そうみたいです』 私『何かあったんです?』 真人『…いえ…別に大した話しではありません…』 大した話しではないと言うが、明らかに顔色が変わるほどの内容のはずだ… 私『そうですか…彼女これからここに来るんです?』 真人『いえ、僕が届けに行きます。すみませんが、少し待っていて下さい…』 私はいいようの無い不安に駆られる…ついさっきまであんなにドキドキしてあんなに興奮したのに… なぜこんなにも落とされなきゃならないの? やっぱり彼女は魔女なんだ… そして…なぜ彼は…このタイミングで彼女のところへ行ってしまうの? 行かないで…お願い…行かないで… 私を…置いていかないで… 真人『すみません…なるべく早く戻ります…先に寝て待ってて下さい…』 彼は何かを隠しているような気がする… 何かあの手紙に隠された何かを… 私は何か思い詰めたような表情で出ていく彼を見送った。 彼が出掛けてすでに1時間が過ぎた… たしか彼女の家は車で30分もかかっていないはずだから、普通に財布を渡すだけならもうそろそろ帰って来てもおかしくはない… なのに彼から何も連絡が来ない… この空白の時間…一体何が彼の身に起きてるんだろう? 考えたくは無いけど、まさか…彼女の家に… その時彼からLINEが来た。 「遅くなりました、今から戻ります」 私はあの小悪魔のような彼女との関係を妄想している。 まさか彼と彼女が…まさか彼は…いや、そんなはずは… ハッキリと私の前で彼女に気の無いそぶりを見せていたのだから… モヤモヤしながら待って20分程経った。 玄関でガチャっと音がしたので私はソファーに座ってうつむいたまま彼を待った。 彼がリビングのドアを開けて入ってきた。 真人『ただいま、起きて待っててくれたんですね。』 彼は私の不安をよそにまるで何事も無かったかのように笑顔だった。 真人『遅くなってすみません…お土産にスイーツ買ってきました。 一緒に食べませんか?』 彼が買ってきたスイーツをリビングのテーブルに拡げた。 しかし私はそれどころではない… なぜ帰ってくるとき20分で着くくらいの距離で空白の時間があったのかを知りたい。 私と彼は付き合ってるわけでは無いので彼を束縛する権限など無いのだから問い詰めることも出来ない… というより…恐くて聞く勇気が私にはない…
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