1 愛しき日々 ー洸ー

2/6
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
   やっと櫂とお母ちゃんが大阪に帰ってきた。  拓海と美音だけが先に福島から帰って来てから1ヶ月、ようやく二人が我が家に戻って来たわ。 「お帰りなさい」  久しぶりに見る櫂とお母ちゃん、良かった二人とも元気そう。 「ああ、ただいま。変わりはないか?」 「うん、みんな元気よ」  毎晩電話でお話してたけどね、私も子供達もみんな元気だよ。 「お母ちゃんもお疲れ様」 「はい、ただいま」  急に1ヶ月も滞在が延びちゃったからね、自分の家だけど色々予定外だったろうし。私は櫂がお母ちゃんと一緒だったからすごく安心してたけど。  なんせ櫂は外食が嫌い。喜んで食べるのは私とお母ちゃんの作った物だけだもの、あとファムさんのベトナム料理か。  プロ級の料理の腕があるのに、自分の為には目玉焼きひとつ作らない人がうちの櫂だ。 「着替えてくる。洸、ちょっと」 「はい」  呼ばれて私たちの部屋に一緒に入ると、櫂はいきなり私を引き寄せぎゅうっと抱きしめた。 「櫂?」 「あ〜会いたかった」  チビちゃんごと抱きしめてくれてるね。一応気を使ってるのか、お腹辺りは絞めない様にしてくれている。 「お疲れ様でした」  そんな櫂の背中をポンポンと叩く、櫂の温もりも匂いも本当に幸せだ。  いつまで経っても櫂の一番は私で、私の一番も櫂だからね。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!