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湯河原南高は相模灘に面している。それは知っていた。地元だから。湯河原南高の教室からは広く大きく海が見える。この風景は新鮮だ。教室からの風景なんて入学しないと実際に見ることは出来ない。
授業に飽きると僕は海を眺めた。真昼の相模灘は南天の太陽を受けて銀色に輝く。学校の裏手は階段状になったコンクリート造りの堤防になっている。その階段堤防も知っていたが、あまり暇でない僕は、そこに行ったことは少ない。第一線を引退したおじさん達が、平日でも昼間から釣り糸を垂れていた。
その日、いつものように海を眺めていると、階段堤防に猫がいることに気づいた。白い猫。釣り人から何かを貰っていた。
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