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肩を叩かれた。出番だ。
特別な衣装は着ない。
一緒に踊るOG6人と私は、Tシャツの上から大きめのジップパーカーをざっくりと羽織っている。
「ありがとうございました!」
女の子たちが揃って挨拶をして、緞帳が下り始めた。
ユカ先生がマイクを手に外へ出て行く。
「はい、ありがとう!
さすが高学年チーム。とっても迫力があったわね!」
ユカ先生が話している間に高学年チームが移動し、確保してあったらしい前の方の客席に座った。
「次は、お姉さんたちのダンスです。
お姉さんたちも、みんなみたいに小さい頃からダンスをしてたのよ」
ユカ先生が場を繋いでいる間に、OG6人が先にスタンバイに入った。
私は少し後で出ることになっている。
音が出る直前の静寂。
蘇る。
張り詰めた空気が、一気に熱を帯びる瞬間──。
音が流れ始めて、緞帳が上がる。
6人が一斉に動き始める。
彼女たちは、舞台の上で躍動していた。
全身の毛穴が開いたみたいに、カッと熱くなる。
振り落とされても、感覚は変わらないのだと思い知らされる。
舞台袖から足を踏み出した。
流れるナンバーは、BTSの“Dynamite”。
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