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アンコール
「OGのお姉さんたちでした!
たまに教室に顔を出すから、知ってる子もいるよね?」
いつの間にか、ユカ先生がマイクで喋っていた。
ずっと、ぼんやりしている。
あそこまで夢中に踊れたことに、私は戸惑っていた。
「さあ、みんな気づいてるかな。真ん中にいるお姉さん……」
逃げたくなった。
こんな風に紹介されるなんて聞いてない。
「この人は、バックダンサーとして活躍してたのよ!」
小さなどよめきが起こる。
とりあえず、軽く頭を下げておく。
感じる胸の痛みは、思いがけず花が目に映ってしまった時の痛さに似ていた。
「先生ね、駆けつけてくれたお姉さんのために花束を用意しました!
渡してくれる子、いるかな?」
ユカ先生。相変わらず、やることが細かいんだから。
子どもたちは、恥ずかしがって誰も手を挙げない。
私は頭を抱えたくなった。
その時。
「はい……!」
一人の女の子が、伸び上がるように立って手を挙げた。
意を決したような表情。
へたっぴだった、あの小柄な女の子だった。
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