25人が本棚に入れています
本棚に追加
OGたちが笑顔で集まり始める。
「ほら。花は預かっとくから」
ユカ先生が花束にそっと手を添えた。
舞台袖の薄闇の中で色を放つ花を、初めて美しいと思った。
「行ってらっしゃい」
ユカ先生に背中を押されて、私は踏み出す。
新しい幕が上がるステージへ。
みんな一緒に、ここへおいで。
振り付けなんて分からなくてもいい。
ここで踊ろう。
子どもたちに向かって、そう言おうと決めていた。
どんなことだっていい。
ダンスじゃなくても。
やりたいことに全力でぶつかればいい。
くじけてしまうことがあったら。
その時は。
今度は、私がみんなに伝えよう。
たとえ下を向いたとしても。
花は、簡単に花弁を落としたりはしないんだ。
もう一度、咲け……と。
最初のコメントを投稿しよう!