ステージ

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ステージ

 ユカ先生に呼ばれて、私は下手(しもて)の舞台袖に移動した。  子どもたちは、登場するのも引くのも上手(かみて)だそうだ。  最後まで、子どもたちと私を会わせないようにしたいらしい。  ユカ先生の司会進行で、発表会の幕が上がった。  トークの上手さは相変わらずだ。  音出しは、さっきのOGのうちの一人が担当する。  トップバッターは、10人前後の小学校低学年の子たち。  励ますような手拍子に乗って、たどたどしいながらも精一杯に踊る。  フリフリのミニスカート、クルクル巻いた髪。  お人形さんみたいで、思わず笑みが零れてしまう。    続いての3・4年生のグループも似たようなものだった。  曲のテンポや振り付けなど、難易度は若干上がっている。  最後は高学年チーム。  ストリート系の衣装で、ヘアメイクは毛先だけ巻いた髪をそのまま流していたり、メッシュのエクステを編み込んでいたりと自由にしている。  ただ、スパンコールの赤い髪飾りだけは全員が付けていた。  小学生とはいえ、ステージに堂々と立つ姿は、ハッとさせられるものがある。  アップテンポの曲が流れ始め、一斉に動き出す子どもたち。  正直、舌を巻いた。さすが、ユカ先生のダンスクラブ──。  そんなダイナミック且つピタリと揃った動きの中、私は一人の女の子に目を引かれた。
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