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10数人のチームの中に、一際小柄な女の子がいる。
舞台袖だから見えるのだと思う。
客席から見て目立つのは、スラリとして手足の長い子たち。
差が出始める時期だ。
体格も、ダンスの技術も。
小柄な女の子のダンスは、懸命さは伝わるものの、どこかぎこちなかった。
所々、振りが左右逆になる。
自信がないのか、横を盗み見ながら目を泳がせている。
何だか見ている者を不安にさせた。
小学校高学年ともなると、そのぎこちなさは「可愛い」では済まされない。
私はいつの間にか、ハラハラしながらその女の子を目で追っていた。
その子なりに、ちゃんとしなきゃという思いはあるのだろう。
動きが急に大きくなった。
でも、精一杯伸ばした腕はただ大振りになって、勢い余ってよろけてしまう。
「……へたっぴだなぁ……」
苦笑いが漏れると同時に、女の子の赤い髪飾りが滲んだ。
ぼやけた視界の中で。
女の子たちは、ステージを目いっぱい、縦横無尽に移動しながら、ひたむきに踊っている。
私にとっての「こんな場所」は、あの子たちにとっては特別な舞台なのだ。
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