第11話 嵐の予感

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「兄さんのカーナビをやっと調べることができた。あいつ、ガード固過ぎるんだって。どこに行ってたのかと思っていたら、こんな辺鄙(へんぴ)な島だもんなー」 ジロジロと私を無遠慮に眺めると、目の前の派手な男の人は言った。 「俺は亜弦(あつる)。朝日奈怜弥(りょうや)の弟だ」 「朝日奈さんの弟っ!?」 まったく似ていない。 私の反応を見て笑った。 「兄さんの母が死んで、俺の母が後妻で入って俺を産んだからあまり似てないかもね」 なるほど、どおりで。と思ったけれど、繊細そうな話だし、口には出さなかった。 「それじゃ、納得したなら案内してくれるかな?名前は?」 「高吉(たかよし)星名(せな)」 「星名ね」 ん!?待て待て!? 「ちょっと!いきなり呼び捨て!?絶対、私より年下でしょ!?」 「面倒だな。そっちも亜弦って呼べば?」 なんとなく腑に落ちなかったけど、むこうはもう『さん』付けする気はなさそうだった。 「……わかった」 「よし。じゃー、よろしく。星名」 朝日奈さんの弟の亜弦は軽い口調で言った。 弟さんなのはわかるけど、なにしにきたんだろう。 せっかく梅雨が明け、気持ちのいい天気なのに何故か私は嵐の予感がしてならなかった。
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