第12話 電話

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「なるほど。大学を卒業したはいいが、やりたいことはみつからない……。自分を見つめ直す旅をしているのか」 「バイクで旅をするなんてロマンチックね」 「職業ロマンチストか……」 「素敵な職業ね」 二人は目をキラキラさせて亜弦に微笑んだ。 うちの親はそういうの好きなんだよね。 夢追い人がさ……。 亜弦は『えっ?ええ?』と戸惑っていた。 無職と名乗り、そんな反応を返されるとは思ってもみなかったらしい。 「ちがっ……」 亜弦が何か言いかけたのにお父さんはガシッと力強く肩を掴んだ。 熊みたいな体つきのお父さんに敵うわけがなく、その手からは逃れられない。 「いいんだよ。人生は夢がなくてはね!」 「若いっていいわねぇ」 二人ともまったく聞いてない。 はぁ、我が親ながら困ったものだ。 真のドリーマーはうちの親だよ!!
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