2955人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
「なるほど。大学を卒業したはいいが、やりたいことはみつからない……。自分を見つめ直す旅をしているのか」
「バイクで旅をするなんてロマンチックね」
「職業ロマンチストか……」
「素敵な職業ね」
二人は目をキラキラさせて亜弦に微笑んだ。
うちの親はそういうの好きなんだよね。
夢追い人がさ……。
亜弦は『えっ?ええ?』と戸惑っていた。
無職と名乗り、そんな反応を返されるとは思ってもみなかったらしい。
「ちがっ……」
亜弦が何か言いかけたのにお父さんはガシッと力強く肩を掴んだ。
熊みたいな体つきのお父さんに敵うわけがなく、その手からは逃れられない。
「いいんだよ。人生は夢がなくてはね!」
「若いっていいわねぇ」
二人ともまったく聞いてない。
はぁ、我が親ながら困ったものだ。
真のドリーマーはうちの親だよ!!
最初のコメントを投稿しよう!