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「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
「温泉入る?」
「今はいい。本を読む」
亜弦は本を数冊持ってきているようだった。
それも難しそうな本ばかりだった。
見た目のわりに意外と真面目で勉強したりするんだなーと感心していると、心の声が聞こえてしまったのか、にらまれた。
「あ、ごめん。ごゆっくり。朝食は八時で昼食は十二時、夕飯は七時。下の食堂にきてね」
「わかった」
ドアを閉めた。
うーん、あの年齢で家出してきたとは思えないけど、念のために朝日奈さんに電話しておこうかなぁ。
大人っぽい朝日奈さんとは違って、亜弦はまだまだ子供ってかんじだし。
なんていうか、育ちのいい子供が精一杯反抗してますっという雰囲気の可愛らしさがある。
言ったら怒りそうだから、言わないけど。
作業部屋に行き、スマホを手にした。
仕事中だから無理かな…と思いながら電話をかけた。
無理なら、留守電にいれておこうと思いつつも、ででくれないかなあと期待してしまう。
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