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『星名?なにかあったのか?』
ドキドキする時間もなく、すぐに出てくれた。
「朝日奈さんですか?今、朝日奈さんの弟と名乗る人が泊まりにきていているんですけど」
『亜弦が!?』
「そうです。念のため連絡しておいたほうがいいかと思って」
『そうか。何か言っていたかな?』
「いえ、疲れてるみたいで休んでいます」
むしろ、邪魔とばかりに追い出された。
しばらく、沈黙した後、朝日奈さんは言った。
『仕事の都合がつけば、明日にはそちらに行くから。亜弦は無視しておいてくれるかな?なんなら、追い出してくれてもいいよ』
無視!?追い出す!?
お客さんだから、そうもいかない。
「そんな悪いかんじの人じゃなさそうだから、心配しなくても大丈夫ですよ」
『いや、悪い奴だ』
えー!?
弟ですよね?
『仕事があるから、切るけれど、亜弦には明日行くことを伝えておいてくれるかな?』
「はい。わかりました」
弟さんを迎えに来るのかな。
通話の終わったスマホを作業台に置いた。
仲がいいとは言えないみたいだったけど、男兄弟だから、そんなものなのかな。
とりあえず、あの金髪にピアスは田舎の島にはインパクトがでかい。
朝日奈さんとは違った意味で噂になることは間違いない。
納屋には亜弦が乗ってきた大型のバイクが置いてあり、猫達は見かけない物体に落ち着かないのか、バイクの周りをウロウロしていた。
島の人達も猫達もなれるまでは時間がかかりそうだった。
「朝日奈さんが明日来るなら、ご飯多めに作っておかないとね!お父さんとお母さんに言っておこう」
明日、朝日奈さんに会える。
それだけで、亜弦には感謝したい気持ちでいっぱいだった。
「よかったねー!明日、朝日奈さんくるって」
猫達が私の言った言葉を理解したかどうかはわからないけど、とりあえず、『にゃー』とは言ってくれたのだった。
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