第12話 電話

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星名(せな)?なにかあったのか?』 ドキドキする時間もなく、すぐに出てくれた。 「朝日奈さんですか?今、朝日奈さんの弟と名乗る人が泊まりにきていているんですけど」 『亜弦が!?』 「そうです。念のため連絡しておいたほうがいいかと思って」 『そうか。何か言っていたかな?』 「いえ、疲れてるみたいで休んでいます」 むしろ、邪魔とばかりに追い出された。 しばらく、沈黙した後、朝日奈さんは言った。 『仕事の都合がつけば、明日にはそちらに行くから。亜弦は無視しておいてくれるかな?なんなら、追い出してくれてもいいよ』 無視!?追い出す!? お客さんだから、そうもいかない。 「そんな悪いかんじの人じゃなさそうだから、心配しなくても大丈夫ですよ」 『いや、悪い奴だ』 えー!? 弟ですよね? 『仕事があるから、切るけれど、亜弦には明日行くことを伝えておいてくれるかな?』 「はい。わかりました」 弟さんを迎えに来るのかな。 通話の終わったスマホを作業台に置いた。 仲がいいとは言えないみたいだったけど、男兄弟だから、そんなものなのかな。 とりあえず、あの金髪にピアスは田舎の島にはインパクトがでかい。 朝日奈さんとは違った意味で噂になることは間違いない。 納屋には亜弦が乗ってきた大型のバイクが置いてあり、猫達は見かけない物体に落ち着かないのか、バイクの周りをウロウロしていた。 島の人達も猫達もなれるまでは時間がかかりそうだった。 「朝日奈さんが明日来るなら、ご飯多めに作っておかないとね!お父さんとお母さんに言っておこう」 明日、朝日奈さんに会える。 それだけで、亜弦には感謝したい気持ちでいっぱいだった。 「よかったねー!明日、朝日奈さんくるって」 猫達が私の言った言葉を理解したかどうかはわからないけど、とりあえず、『にゃー』とは言ってくれたのだった。
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