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第13話 兄弟
「兄さんが来る?」
「うん。そう言ってたよ」
返事をしながら、夕飯の煮魚や刺身、みそ汁とご飯、油揚げとナスの煮物を運んでテーブルに置いた。
「思っていたより、兄さんは本気なのか?」
なんで私の顔をじっと見るのよ。
上から下まで眺め終わると首を横に振った。
「まさかな」
考えていることが手に取るようにわかって、失礼なことこの上なかった。
どうせ朝日奈さんと釣り合いませんよ。
言われなくても分かってるわよ。
ムッとしながら、お茶が入った卓上ポットをテーブルに置いた。
「お茶はセルフサービスだから」
「ああ。わかった」
黙って食事を食べる亜弦は見た目と違って、上品に食事を食べる。育ちがいいっていうか、どこかお坊ちゃんっぽいんだよね。
「じろじろ見てなんだよ」
「もしかして、朝日奈さんの家ってお金持ちなの?」
げほっとむせた亜弦が慌てて水を飲んだ。
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