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「・・・私、この記憶って、いつもは曖昧なの。いつも1人で、誰も私の話は聞いてくれなかった。嘘つきな子、構われたいから狂言、妄言癖のある子、気持ち悪い、頭のおかしい子、さっちゃんは嘘つき、みんなそう言ってた。嫌だったな、悲しかったな、痛かったなって思う事はあったけど・・・みんな、私からいなくなるから、この記憶は消えてってしまったのかもしれない。」
「佐智・・・俺はいるよ・・・」
ぎゅぅっと佐智に抱き着いて、佳月は頭を擦りつける。
それを抱き締め返して頭を撫でてやりながら、
「覚えてると辛くて、イザナギの事も・・・・・・出会わなければよかった、って思った・・・。だって・・・信じられるわけないよ・・・神様がガチャガチャから出てきて、奥さん探すの手伝ってくれって言われて、すんごい女誑しみたいな事するのに、俺の事は好きになるなよ、ってナニソレ・・・!ひどいよ・・・!自分勝手すぎる神様のくせに!」
「・・・神様・・・最低だな・・・」
俺に侮蔑の視線を向けて佳月は佐智の頭をよしよしと撫でている。
「・・・俺に叶えてほしい願いを考えておけよって言ったでしょ、イザナギ。」
「あぁ。言ったな。」
「じゃあ、叶えてよ・・・」
佐智はキッと俺を睨む。
「なんでも叶えてくれるんだよね?」
・・・なんでも・・・
それが佐智の命に関わる事や、他者を巻き込む不幸な事でない限りは・・・
「・・・・・・イザナミと、幸せになって」
「!・・・さ、ち・・・・・・」
「・・・ずっと、そう言おうと思ってた・・・・・・神様が幸せになってもいいでしょ・・・?」
無理をして笑う佐智の目から涙が零れた。
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