Capsule5:失くした記憶と縁結び

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「イザナギ!?イザナギ!ねぇっしっかりして!!」 「・・・・・・」 「イザナギ!!」 は・・・声も出ないか・・・落ちぶれたものだな、俺も・・・ 「佐智!願って!俺と神様と一緒に帰るって!!俺は佐智が覚えててくれたからこうして消えないでいられた、だから、佐智、3人で帰るって願って!!」 ・・・そうだ・・・願いだ・・・ 思いの強さ、叶えたい思いを強く願う事・・・ 願え、佐智。 ・・・佐智を、目覚めさせる・・・ それが、俺に出来る最後の事だとしても。 ーーーーー 「どうしよう!どうしよう!皇明!2人とも起きないよ!!」 眠ったままの人間の娘の意識の中にイザナギが入り込んで2時間程が経過した。 深い意識の中は娘の思うようにどうとでもなるが、魂がすでに魔物に触れられ、いやそれ以上に喰われてしまっていたら、イザナギが連れ帰る事は出来ないかもしれない・・・。 何より、娘が現実のこの世界に戻りたいと願わなければ、戻る術はない。 魔に好かれる魂は、心やどこかに隙や闇を持つ魂だ。 魔が差す、隙に魔が入り込む、そういう魔に好かれてしまう心が魅入られ、喰われてしまうと戻る事はできない・・・。 「イザナミ、落ち着きなさい。2人が戻ってきた場合に備えてある。あとは待つしかない・・・」 皇明の胸を掴む私の手を大きくて冷たい手が握り返してくる。 「・・・冷たい・・・」 「え?手ですか?それは・・・仕方ないので・・・」 「・・・ごめんね、皇明・・・人間でいたかったあんたを・・・」 眠る人間の娘を前に、私の中に皇明と出会った日の事が蘇る。 しかし、それ以上の言葉を口にするのを皇明の手が遮り、 「俺は後悔していない。俺が今ここに在る事が出来るのは、あの日イザナミ、お前に救われたからだ。それはこの先も永遠(とわ)に違える事のない誓約のはず。感謝こそすれ、謝罪を求めたりしていない。」 「・・・皇明・・・」 「・・・・・・待とう。2人が戻るのを。」 抱き締める皇明の腕の中で、願いを込め、私はキツく目を瞑った・・・ ・・・戻る事が出来れば・・・・・・ ・・・・・・戻ってくる事さえできれば・・・・・・ ・・・・・・帰ってこい・・・イザナギ・・・・・・
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