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しかし彼女は、恋愛対象を俺に向けた。とくに彼女と接することもなく、もてる要素などどこを探せど見つからないと思っていた俺なので、彼女の気持ちがまったく理解できなかった。
ただ、あえて理由をつけるなら―――クラスメイトとの交流などもほとんど持たず、空いた時間を見つけてはノートPCのキーを叩いているという、まわりの中では異質な姿に興味を抱いて……だったのかもしれない。
いずれにしろ、真意は永遠にわからない。―――妻を、そして同時に、娘を失くしてしまったからには。
あれから一〇年―――。
その間問い続けた、「俺がいけなかったのか……」との疑問に、答えは未だ出ず。そしておそらくこれからも……。
信号が変わった 。
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