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信号も明かりも途絶えた街は、日没後すぐに真っ暗になった。
凍てつく暗闇の中、皆で抱き合って泣いていた。
そんな中、空を見上げてほなみちゃんが言ったんだ。
「みんな、おほしさまになったの?」
僕達はみんな夜空を見上げた。
満天の星空だった。
お父さんとお兄ちゃんと泉ヶ岳で見た星空よりもはっきりと見えた。
いつもは、明るくて星なんて見えないのに。
僕はほなみちゃんに聞いたんだ。
「おほしさまになるって、どういうこと?」
「ひとは、しんじゃうとねぇ、おそらにのぼって、おほしさまになるんだって」
「こんなに、しんじゃったの?」
「そうだよ、きっと」
「ぼくたちも、おほしさまになるのかな?」
会話を聞いていたみほ先生が、黙って僕達をぎゅうっと抱き締めてくれた。
ほなみちゃんは、ショートヘアーで男子から男女って呼ばれていた。
幼稚園で一番の怪力だったし、かけっこもボール遊びも一番だった。
男勝りだったけど、あの夜、星明りに照らされた横顔はとても綺麗だった。
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