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01.2011年4月21日
津波発生から一月と十日。
この街では、被災した車両や誰かの家だったものが未だ手つかずだった。
残骸と呼ぶには、あまりに無神経な……でも、確かに残骸だった。
当時の僕はまだ、車を『ぶーぶー』って呼ぶような年齢だったのかな?
津波の瓦礫で潰れた車は、何十年も年をとって発見された気がして、怖かった。
港に近かった僕の生まれ故郷は、壊滅的な被害を受けて、道も塞がれていた。
自衛隊が特殊な車輛で、津波で流れ着いた瓦礫を押し分けて、道を作ってくれた。
もう僕には、どこが自分の家で、どこが友達の家か分からなかった。
通っていた幼稚園は、園庭が広く、建物は流されなかったから、遠くからでも分かる。
というか、残ってる建物が少なかったから目立つんだ。
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