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大人達は言った。想定外だった、と。
あんな大きな津波が来るとは想わなかったと。
消防のサイレンの音と防災無線の音声が混ざり合い、聞き取れないけど、何か大変なことが起きていると想った。
「津波が来る! 早く逃げろ!」と血相を変えて伝えに来た人が居た。
多分、園の近所の人じゃないかな。
逃げろと言われても、バスもない僕達は困ってしまった。
先生の車に分乗しようとしたけど、親が迎えに来たら困るからと留まることになった。
園に残った僕達は、まっ黒になった靴下のまま二階に上った。
雪が降る外と違い、寒さを凌げて、ほっとした。
港までは数百メートル。
窓から見える港は青くはなかったけど、いつもと変わらないと想った。
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