02.2011年3月11日

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僕みたいにバス通園ではない児童が十人と、数名の先生達。 足の裏が冷たいとか、高い所が怖いとか言ってられなかった。 ただただ感情を涙で出すしかなかった。 怖かった。 遠すぎるサイレンの音は、ゴーーーという不気味な波の音に消されていく。 目の前を流れていく、まっ黒な泥の海。 車も家も電柱も木も全てを飲み込み、巻き込んでいた。 人も流れていた。助けて、助けてと手を伸ばしながら。 だけど、僕達の手は全く届かない。 助けを求める声だけが一方的に届き、更に怖くなって、僕達は大きな声で泣き返した。
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