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  「…なんでよりによって延長なのだ」 「正々堂々ほっぽり出して来たらそうもなるわな」  後日。  ペナルティと称して中庭の花壇整備一週間を課せられた名誉会の二人、越前が例によって麦わら帽子を被りながら精を出す。体育ジャージにスポーツタオルを首に巻き、5月の初夏でも長袖ジャージで軍手をつけて作業する様は、まるで用務員そのものである。 「暑くないの越前、てか日に当たれよきもいんだよ肌が白すぎて」 「僕の美白に見惚れている暇があったらそっちのゴミ袋追加分を持ってこい。お前が一枚で済ませようとするから袋が裂けて木々がはみ出ていたぞ、もっと趣向を凝らして」 「はいはいはいはい」  行きゃーいいんでしょ行きゃあ! とボヤいて言いつけ通り駆け出し、中庭を突っ切る。そのベンチに、写生をしているのか、スケッチブックを持った阿佐美花薇がいた。  白い肌、黒髪、相変わらずの姿勢の良さに声をかけようとして、力丸は息を止める。 「越前」  そして、手早く用を済ませると戻ってきた。ゴミ袋を突き出し、草むしりに励む越前を見下ろすと真っ青な顔で瞬きをする。 「さっき、阿佐美さん左手で文字書いてたよ」
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