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いちゃこらぶっこく親父と母さんにキラキラした目を向けるのは薫蘭風ちゃん。
「おじさんおばさん素敵! あの女たらしのおばさんに馴れ初め聞かせてあげて! きっと目を覚ますから! 」
ほんもの女子たちが目を輝かせる。
「気になります! 」
「是非是非! 」
「冥土の土産に! 」
束砂さんも更紗さんもはろんさんもノリノリだ。
その横でげたんわくんと良くんのカラオケにうたうものさんが参戦している。そっちはそっちで熱いなぁ。
「うふふ。仕方ないわね」
母さんが語りだすようだ。親父も横でうふふーーって言ってる。
「瑠璃ーー! 是非聞いてーー! 」
親父……母さんといちゃこらしてろよ。息子(女体化)は今日は隅っこにいたいんだよ……。
「瑠璃くんも一緒に聞こう! 聞いたことあるの? 」
薫蘭風ちゃんのキラキラした目が痛い。
「いや……、ないけど……」
聞くタイミングは確かにあったけど、俺避けてきたのに……。こんないちゃこら真っ最中の親父と母さんの馴れ初めはちょっと聞きたくないのよ。俺にとってはいちゃこら両親は日常だし、なんでわざわざエサ与えにゃならんのだよ……。
「お父さんはね、大学の先輩だったの。私も美大の生徒でね」
結局、薫蘭風ちゃんと隣り合って聞く羽目になってしまった。
「あれは暑い夏の日だったわ。突然に叫び声が聞こえたの。『下着透けててサイコー!! 』ってそれがお父さんだったわ」
馴れ初め……だよね? いきなり変な話なんだけど?
「私は『へんたーい!! 』って叫んでぶっ叩いたの。初対面のお父さんを」
親父がうふふと笑っているがうふふじゃねーだろ?
「そしたらね、お父さんたら『君が魅力的過ぎて……』って鼻血出しながら笑ったわ。だから『失せろーー!! 』ってぶっ叩いたの」
マジで何の話なんだろう?聞いてるメンバーの顔が笑顔から真顔に変わってるんだけど?
「何回も何回もぶっ叩いたの。でも何度でも立ち上がってくるの。ゾンビかと思ったわ」
……ゾンビなんじゃないかな?
「どうしてそこまで立ち上がってくるの!? って私、叫びながらまたぶっ叩いたわ。そしたらお父さん、崩れ落ちながら『君が魅力的過ぎるから立ち上がるんだ』って囁いたの。キャッ」
キャッって何!?
「私、その時決めたわ。衝撃的だったのもそうだけど、この男を倒せるのは私しかいないって。そのためには一番近くにいなければならないって」
俺……、そんな馴れ初め聞きたくなかった……。もうちょっと色っぽい話良かった……。
「でね、お父さん、また立ち上がってね『私と君の間に子供が産まれたなら『瑠璃』と名付ける! 側にいてほしい! 』って初対面で言ったの」
俺の名前って出会った瞬間に決まってたの!?
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