目覚め

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目覚め

目が覚めた、白い天井に無機質な音が響くカーテンで仕切られている所だ。 ここは病院?そう考えるのが妥当だろう、重い頭を動かし辺りを見渡す、そうすると見知らぬ少女がこちらを見て驚いた表情で声を出す。 「有里!やっと目を覚ましたのね!待ってて今看護師さん呼んでくる!」 そう顔を見た瞬間病室を飛び出していった少女、ゆうり…そうかこれが私の名前か、ここに来て自分の名前がはっきりした気がする。そして頭が痛くなる、名前以外が何も思い出せないからだ。 「志賀さん、目を覚まされたんですね、どこか身体が痛いとかありますか?」 看護師さんらしい人が病室に入るなり私に話しかける、後ろには先程の少女もいる。 「頭の痛みは少しあるだけで身体は別に…あの…私記憶がないんですけど…」 そう言うと看護師さんは渋い顔をして「頭へのダメージが大きく一時的な記憶障害を起こしているかもしれません…」と呟く。 私は事故にでもあったのか、それすら覚えていないので看護師さんにここに来るまでの事を聞く。 私は買い物の帰りに信号待ちをしている所を車が歩道に乗り上げ数人とぶつかったらしい、それに私も巻き込まれこうして病院に運ばれてきた。 買い物帰りだと分かったのはそこにいる少女が私が買い物に行くと言ってから帰ってこないと言って判明した、私はこの少女とルームシェアをして夕飯の買い物帰りだったらしい。 それを聞いた私はぽかんとした、ただただ自分に起きた事に信じられずにいた、こんな小説のような記憶喪失になった事に驚きだ。 看護師さんは先生に話をしてくると病室から出ていった、そしてルームシェアしているであろう少女と2人きりになる。 「えっと…ごめん、記憶がなくて貴方の事も覚えてないんだ…」 「それは…悲しいけど仕方ないよ」 そう告げた少女はどこか悲しそうに笑う、普通に一緒に暮らしていた友達に忘れられたら悲しいよな…と思い特に気にせず彼女に向き合う。 「事故で記憶無くしてるだけだから戻る可能性あるし!そんな暗い顔しないで」 私は彼女に明るめに言う、その言葉で彼女も少し気を緩めたのか病室の空気が少し明るくなった。
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