可愛い彼女と俺の恋

30/80
前へ
/1123ページ
次へ
 (どうしよう……めちゃくちゃ気まずい。滉にとったら同じ空間に俺が居たら邪魔なんだろうな。)    理系科目のノートがうず高く積まれたのなんて見向きもせず、黙々と自分の持ってきた勉強道具のみを使って自習を続ける滉の姿をキッチンの方から恐る恐る覗く。  (別にノート使ってくれなんて思わないけどさぁ、あそこまで無視するのも逆に凄いっつーかなんつーか……。)  とはいえ、滉の前に置かれたグラスが空になっているのだからこちらも気配を消したままでいる訳にはいかない。  「飲み物のお代わり……いるか?」  これまた恐る恐る訊いてみると  「ジンジャーエール。」  という答えがすぐ返ってきてホッとし、濡れたグラスを取りに行き、新しいグラスにジンジャーエールを注ぐ作業に取り掛かる。    「滉って、ジンジャーエール好きなのか?」  勉強の邪魔にならない位置に、これまた結露で紙を濡らさないように夏用のコースターを敷いてグラスを置いてやると  「氷ガンガン入れてくし形のレモン入れてくれたら文句言わない。」  などと、高校生らしくない生意気な発言をした滉は一気にそれを喉へ流し込む。
/1123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

450人が本棚に入れています
本棚に追加