可愛い彼女と俺の恋

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 冷静に自分ですら感じる夏実の思考回路の謎を淡々と述べてみたら、鼻先の人差し指はくるっと内側に巻いて手は拳を形作る。  一瞬、殴られるのかと思ったのだが……。  「ほんっと!!…………意味分かんねぇ。」  と言いながら拳をスッと引っ込めてくれたので、彼の人間性に俺はホッとして  「滉は夏実に、先に惚れた方がなんちゃらって話をしたんだろう?」  昨夜夏実が話してくれたエピソードの一つを、尚も複雑な表情を浮かべる滉に持ち出した。  「っ……。」  「滉は彼女の茉莉にも優しく接するけど、同様に夏実にも優しく接している。……まさかとは思うけどまだ夏実の事が好きだったりするのか?」  その問いに滉の目は真っ直ぐ俺の方を見て  「それは違う!」  と即答した。  「違う?本当に?」  「俺が一番大好きなのは茉莉だ!……けど、友達として一番大好きなのがなつこってだけで!」  「友達として一番大好き……ねぇ。」
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