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「卑怯って言われて気持ち良いとかマゾって言われて笑うとか、気持ち悪過ぎて生理的に無理なんだけど。」
「だろうな。俺が滉の立場でもそう思う。
俺は昔から秀でたものが何もない、学も才能もない男だから余計に『なんで夏実はこんな俺を好きでいてくれるのか』って毎日のように思うよ。……滉の言う通り、俺は好きな相手から無条件に愛される少女漫画の主人公そのものだ。」
俺は夏実の側に18年居るとはいっても姉のように何でも相談出来る存在も無ければ、兄のように自分の意思を貫いて夢に向かって人生を懸ける覚悟も無い。
母親から頼まれた「子どものお使い」しかせず、夏実の望む気持ちを汲んだり先回りして言葉に出してやる事すらしない……しかも一回りも歳が離れたこんな男、俺でも選ばないだろう。
「おっさんは、現状2人が好き合っていれば好きになったきっかけだとか順番だとか関係ないって思うんだろ?
でも俺は絶対に違うと思う。相手の気持ちが目で見えないからこそ好きになったきっかけは重要になってくるし、先に好きになった方は相手をずっと思いやる義務があるんだよ。
先に好きになった方が『負け』だから。」
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