可愛い彼女と俺の恋

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 「…………『負け』……か。」  互いが好き合っているのであれば勝ちや負けなんて概念は必要ないのだろう。  俺が滉や茉莉に主張した、きっかけや順番は重要でないという意見の意味はそこにある。  だからといって、俺はその勝ち負けを一切スルーして夏実を想っている訳ではなかった。  「俺がなつこに言った『先に惚れた方が相手をめちゃくちゃ可愛がって大事にするのは当たり前だ』ってヤツ。……あれはなつこが可哀想だからオブラートに包んだ言い方をしたんであって、『先に惚れた方が負けなんだから、惚れられた方を尽くして大事にしなきゃ恋愛なんて持続出来ない』って事が言いたかったんだ本当は。」  「追うものと追われるものが居たら、追われるものは追うものの気持ちなんて分からないし追うのを辞めた時点で全ては終わるもんな。」  「なんだ分かってんじゃん、おっさん。」  「俺もそれなりに年取ってるからな。」
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