可愛い彼女と俺の恋

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 「自分の胸に手を当てる」という言葉がある。  俺はその言葉の意味を知っていながら、今までそれを一切してこなかった。  ……知っていたからこそ、それが出来なかった。  「滉や茉莉……当人の夏実ですら、俺を気持ち悪いと感じ嫌悪を抱くんじゃないか?中2の俺が2歳の夏実を好きになったなんて知ったら。」  夏実をいつから女として見たか?……俺みたいな男が夏実に恋をした場合、他人はこぞってその質問を抱く。  けれども俺は、それがいつからなんて本当に分からないし答えられないんだ。  もし回答するとしたら「付き合うようになってしばらくしてからだ」と言うだろう。実際、俺が夏実の素肌を想像しながら自らを慰めたのは初めてデートした日の夜だったからだ。  「中2でって……本気かよ?それ。マジでロリコンじゃん。」  「ロリコン、ペドフェリア……今の状況でも他人は俺をそう罵るだろうけどな。」  信じられないとでもいうような表情をする滉に、俺は嘘でも冗談でもないという意味を込めて眼差しを送る。
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