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俺は2歳の夏実の事が好きだと気付いた時点で、即その気持ちに蓋をした。
それは許されない恋だと理解していたから。……それを誰かに知られでもしたら家族ぐるみの付き合いすらも無くなってしまうと考えたからだ。
「気持ち悪いだろう?しかも滉が夏実に行動したイケメンエピソードも何にもなく、だ。
ただ、夏実の家で普通に何気なく過ごしていて……俺はその気持ちに気が付いた。」
「……なんかきっかけがあったわけでもなく、フツーに2歳の夏実と一緒に居て自分の気持ちに気付いたのか?」
滉はまだ信じられないとばかりにそう確認する。
「……何かあったかというならあれだな。
夏実が俺の前で生まれて初めて『パパ』ってはっきり言った時。」
「はあ?パパ??」
「そう、パパ。」
俺は事実を述べているだけなのだが、それを聞かされた滉の頭は混乱を極めているに違いない。
16年程前のこと。
いつものように夏実の世話をしていた俺に向かって、夏実は手を伸ばして「パパ」と言った。
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