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いつしか夏実が俺を「パパ」ではなく「みなと」と認識してくれた時、何故か嬉しいと感じられず……夏実は俺を家族ではなく他人と認識した寂しさが自分の心を支配した。
「何でだよ?年の差なんて、年とっていけば距離なんて感じにくくなるもんなんじゃねぇの?」
「それは今からの話だ。しかも30と18の今の距離が縮まるのは夏実も俺を好きで居てくれる前提でなければならない。
夏実の気持ちを知らないまま、2歳が小学生になり中学……高校と心身が成長していくのを見続けるのは案外苦しいものだよ。」
「気持ち知らないって、なつこはおっさんに『お嫁さんになりたい』って言ってたんじゃん。」
「そんなの、何度も聞いていたら女の子の無感情なリップサービスだと思うだろう?滉でも本気にするか?10年以上前から聞いていたら。」
今、夏実はスマホを常に持ち歩いている。
小さな夏実を視界の端に寄せていた俺の役目は随分前に終わっていた。
滉の電器店でそれを感じた瞬間も、安堵の気持ちの奥底ではやはり黒い感情が同時に湧き上がっていた。
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