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「夏実には長風呂控えてって言ったけど、なんだかんだでしばらく時間かかるよなぁ……。」
この時間帯、決まったテレビ番組を観てはいないのだが何気なくリビングの部屋中央にボーっと立ってテレビのリモコンを操作しようとしたら
「湊人お待たせ〜!!」
タックルに近い夏実のハグが突然やってきてデカい俺の身体はいとも容易く倒される。
「いっ!!たあ!!!!」
立ってた周囲には何もない筈なのにガンッとかゴツッとかいう音の直後に頭と腰に激痛が走った。
「わあ!ごめん湊人!!痛かった?痛かった?」
夏実もまさか俺が派手に転ぶなんて想像つかなかったんだろう。
俺の片腕で抱え込んだ夏実は、顔だけ視界全体にひょこっと現し、心配そうに俺を見つめる。
「ごめんね湊人……。いつものようにハグしたつもりだったんだけど今日は疲れてたんだもんね。ごめんね、しなきゃ良かったね。」
俺の視界いっぱいに現れた夏実は大きな瞳から涙をじんわりと滲ませ、汗でベタつく俺の頭を優しく撫でている。
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