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わたしが念願叶えて慈門さんに慈門さんとして会えたのは、なんと結婚式の日だった。
「百音ちゃん、はじめまして。亜門の弟の、堂前慈門です」
空は快晴。わたしの肌は調子いい。亜門さんの機嫌はまあまあ良い。
そんなお日柄の良い結婚式の会場にて。
亜門さんと似た顔の彼が、わたしに挨拶をしにきてくれた。
主役のわたしと亜門さんは、テーブルに並んで座っている。わたしは嬉しくなって立ち上がったけど、亜門さんはぜんぜん嬉しくなさそうに舌打ちしていた。
「はじめましてなんて言わないでください!わたし、はやくお会いしたかったんですよ!なんたって、我々はお見合いした仲じゃないですか〜!」
栗色の髪はおしゃれにキマッていて、こうしてみると亜門さんには到底見えない。
お見合いの時よりもちょっと老けた感じ、じゃなくて、えっと、落ち着いた感じがする。にこにこしてるから目尻に笑い皺ができてるし。
でも、相変わらずものすごく格好いい。柔らかくて甘ったるい雰囲気がまさにわたしの理想のタイプで、思わずハイになって言葉を返してしまった。
「俺も会いたかったんだけど、亜門にだめって言われちゃってね」
マシンガンのように喋ってしまったわたしに、困ったように笑う慈門さん。
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