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同じ顔でも、いまは髪型や服装が違うし、なにより纏う雰囲気が全く異なる双子だ。
「でも、あのときの百音ちゃんが、こうして亜門の奥さんになると思うとなんだか感慨深いなあ」
慈門さんは「ほんと、おめでとうね」とやさしく言葉を添えて、程よい頃合いで親戚の輪に戻っていった。
次にわたしたちのテーブルには、わたしの両親が現れた。
「百音、っく、世界でいちばん幸せになってね」
「百音ちゃん、世界でいちばんきれい、お姫さまみたい」
しっかり泣いているパパと、まったく泣かないママ。
この歳になってお姫さまはさすがに恥ずかしいので、わたしは愛想笑いで返しておいた。ははは。
それにしても、ウェディングドレス。真っ白で、どきどきするけど、なんだかじぶんが綺麗な人みたい。髪もすっかり伸びていいかんじだし。
なんて、幸せの絶頂で思っているわたしの傍ら、ママが亜門さんに話しかけた。
「亜門さんみたいな素敵なひとが、百音ちゃんを見つけてくれて、ほんとうによかった」
わたしのママは、ちょっと親ばかだ。なんでもママが選んで、ママが決めて、ママの言う通りにしてわたしを正解に導いてくれていた。
それが、いまでは、住む場所が離れて、心にも適度な距離ができて。
自分でできることが増えるたびに、ママの偉大さがよくわかる。ママは永遠にすごいひと。
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