逢魔時のせいだとして

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お見合いは、ママのススメだった。 「百音ちゃんと結婚するのにふさわしいひとを、ママが見つけてあげるからね」 彼女がそんな余計なお世話を言い出したのは、たった3ヶ月前のこと。わたしのママは、いわゆる親ばかで過保護な節がある人だ。 そして何より、仕事が早い。 その翌月にはハイスペックなお見合い相手を数名みつけてきて、その翌月には幾つかのお見合いをセッティングした。 わたしは、計4回のお見合いに参加した。 過去3回分をダイジェスト形式で説明すると、①高収入エリート(しかし年齢が離れすぎている)、②やさしくて気配り上手(しかし会話が面白くなさすぎる)、③顔がイケメン(しかしナルシストすぎる)、といった微妙な結果。 なかなかどうにも「またフタリで会いましょう」とはならなかった。 21歳で学生の身分であるわたしは、まだ、結婚に対して前傾姿勢になれないのが本音だったりする。 だけどママは、わたしの将来の伴侶を見つけるまで諦めないつもりらしかった。その熱意が伝わった。 だから次にお見合いする人とは、相手に過度な欠点がない限り、せめてデートまで進んでみようと決めていた。 それが4人目となるお見合い相手。 堂前亜門(どうまえあもん)さん、そのひとである。 結果から先に述べると、わたしは自ら堂前さんをデートに誘った。
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