逢魔時のせいだとして

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つまり、そういうことである。 堂前さんは、28歳のエリートサラリーマンだった。しかも、やさしくて気配り上手だし会話が面白くて、顔が極上に整っているのに謙虚なひと。 穏やかで柔らかくてあまくて。非の打ち所がない、わたしの、いや、女の子みんなの理想通りみたいな男の人。 年齢がやや離れているけれど、すっかりハートを溶かされたわたしにとってはそんなの問題にもならない。少なくとも離れ〝すぎ〟ではないと感じた。 だから、気を利かせた両親たちが、わたしたちをふたりっきりにしてくれたお見合いの席にて。 思い切ってこちらから、お誘いをかけてみた、わけなのだ。 「また、ふたりでお会いしてくれませんか?」 完全にじぶんを棚に上げているけれど、お見合いにくるくらいなのだから、相手は結婚に前向きであると決めつけていた。 しかも、堂前さんは、わたしの〝好きな俳優が結婚してしまったのがしんどい、わたしと結婚してほしかったとまでは言わないけど永遠にわたしたちのものでいてほしかった〟という長い話を優しく聞いてくれた。 絶妙なタイミングの相槌も、丁寧なリアクションも、興味深そうに見つめてくれる視線も。なんていうか、わたしに気がありそうなかんじだった。 だけど、勘違いだったらしい。
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