雨夜の月はふたりで

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これはひとりで解決できそうもないので、わたしは頼れる友人に相談することに決めた。 「あのね、百音おじょうさま」 大学の講義のあとに立ち寄ったコーヒーショップ。 そこで友人に相談すると、彼女はミルクティー色のショートヘアを揺らして、人差し指を立てながら説明する。 「触れ合わない関係と、同じベッドで眠らない関係というのは、同義語なんですよ」 耳がピアスでじゃらじゃらしている、ギャルみたいなアイちゃんがいう。ニットのタートルネックに金色に光るネックレスが、なんていうか、やっぱりギャルっぽい。 セミロングの黒髪、ピアスホールはゼロのわたしとは大違いのルックスだけど、どうにも気が合う大学の友だち。奇遇にもきょうのわたしもニットのタートルネックを着ているけど、なんだかまったく別物だ。 だけど、同じブラックコーヒーを注文しているから、気が合うことは証明される。 そんなアイちゃんは、恋愛経験豊富(当社比)だし、異性との交流も盛ん(当社比)であるから恋愛相談にはうってつけの相手だ。 「べつにね、わたしたち、毎晩おなじベッドで寝てたけど、毎晩毎晩やってたわけじゃないよ?!」 「うん、でもね、同じベッドに寝るってことはその可能性があるってことでしょ?だから触れちゃダメな距離感、つまり同じベッドで寝ない距離感、のわけよ」
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