雨夜の月はふたりで

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「亜門さん、わたしとやりたくて同じベッドで寝てくれてたの?!」 「ていうか、いったん待って」 椅子から立ち上がりかけてアイちゃんに唾を飛ばしていると、彼女は冷静に両手で加熱しすぎたわたしを制した。 「百音の口から婚約者とのベッド事情を聞く日がくるとは思わなかったわ」 まあ、ちょっと違和感はあるかもしれない。わたしはこれまで浮いた話がいっさいなかったので、ベッド事情どころかソファ事情も話したことがなかった。 だから、聞く専門だったのだけど、まさか自分が恋の悩みらしきものを相談する立場になってしまうとは。 記念なので、惚気てみる。 「亜門さん、ちょ〜〜〜かっこいいよ」 「いいよね、ぽけーっと生きてたら、年上のエリートイケメンをママが連れてきてくれるんだもん」 「そのために我慢してぽけーっと生きてたんだよ」 「たしかに、百音は夜遊びも知らないまま結婚しちゃうんだね」 ふと思いついたように、アイちゃんが言った。 考えてもみなかった言葉に、わたしも固まる。 「実家では超箱入り娘だから夜まで遊べなかったし、実家を出たと思ったら婚約しちゃったからほぼ新妻状態。たまには外で遊んでみたら?」
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