雨夜の月はふたりで

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繰り返すようだけど、アイちゃんはギャルだ。見た目もそうだけど、性格はすごく良くて優しくてしっかりしてるけど、こう、魂そのものがギャルなのだ。 だけど、わたしを楽しくさせてくれるのはいつもアイちゃんだし、たぶん、アイちゃんに任せたら危なすぎることはない。 「アイちゃん、お願いがあるんだけど」 「なに、言ってみて」 「わたくし宝生百音を、夜遊びデビューさせていただけないでしょうか?!」 すると彼女はばっちりウインクして、いかにもギャルっぽいブイサインを見せつけた。 「任せろって!」 さすがに同居人の婚約者に何も言わずに家をあけるのは、そわそわしてしまう。なんたって、箱入り娘なので。 だから、彼の機嫌が良さそうな時を狙って、話を持ちかけることにした。 コーヒーショップを出て、アイちゃんとバイバイして、わたしはいつも通り日が暮れる前に帰宅する。それから、だいぶ上達した肉じゃがを作って亜門さんの帰りを待った。 同じベッドでは寝てくれないものの、彼はどんなに遅くなっても帰宅する。そして、自分の家で目覚めて出勤することを彼の中の正義としていた。 さて、裏切ることなく完璧なスーツ姿でご帰宅された我が家の主。 わたしの肉じゃががけっこう美味しくできたので、機嫌が悪くなさそうに見える。 「亜門さんにご相談があります」
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