雨夜の月はふたりで

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思い切って、切り出した。 ダイニングテーブルに向かい合って座るわたしたち。わたしは先に食事もお風呂も終えていたので、パジャマ姿で、彼が上品に食べているのを眺める係だ。 亜門さんは帰って着替えたラフなパーカー姿(彼の部屋での基本装備)で、正しい姿勢で箸を伸ばす。 「どうぞ」 こちらにちらりと視線を飛ばして短く告げると、また、肉じゃがを口に運んだ。 これ、絶対おいしいやつでしょ。褒めてくれてもいいのに。 「ていうか、肉じゃがじょうずになりましたよね?」 「うまいな」 「胃袋掴まれましたか?」 「さあね」 まあ、この程度で掴まれちゃう胃袋だと、むしろ不安だ。亜門さんレベルの人なら、胃袋も孤高であらねばならないので、仕方ない。 「で、相談ってなんなの」 ようやく余裕が出てきて作れるようになったお味噌汁。そのお椀を手に取った亜門さんが話を促す。 ちなみに近頃では、おかず一品、汁物、お米、調子の良い日はサラダまで用意できるようになった。今日はもちろん、サラダのある日だ。 自分の成長を勝手に感じて、わたしのほうがご機嫌になってしまう。 「あしたの夜ごはん、外で食べても良いですか」 すると彼は、怪訝そうに眉を顰めた。 わたしの相談が良くなかったのか、あるいはお味噌汁が美味しくなかったのか。
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