37.ドラゴンスレイヤー(ズ)

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「エイブラハム、さま・・・・・・」 「ちっ・・・・・・、『黒』の騎士まで来たのか・・・・・・。足止めすら満足にできないとは」  ホーリーホックに焦りの表情が浮かぶ。  敵対する聖グレイトウェルシュ王国において、優先すべき事項のうちの1つが、『黒』の騎士・エイブラハム=ヴァン=ペンドラゴンの足止めであった。  『竜殺し』の黒騎士――歴代で最大の竜の討伐数を誇るエイブラハムこそ、大邪竜ファブニールに対する最悪のカウンターとなる。ウィリアムも危惧していたとおり、聖都内でのファブニール討伐はかなりの弊害があるが、無人島である『三ツ子島』でなら障害はない。 「・・・・・・言葉巧みに従えて駒の1つとしたのだろうが、貴公には、あの男の誇りはわかるまい。道を違えなければ、彼は良き友となれただろう。彼の愚弄は許さんぞ、よ」  鞘から引き抜かれる剣によって金属が擦れる音が小さく鳴る。向けられた切っ先は淀みなく、迷いはない。
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