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巨大なファブニールの前に立つ一人の男。竜から見れば、吹けば飛ぶような小ささ、踏めば潰れるような脆弱さ。
けれど、その背中は消して小さくない。全身を包むその闘志は、身体の大きさを錯覚させるほどの凄みがある。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!」
渓谷に、威嚇の咆哮が木霊した。
それよりも――速く。邪竜の前腕に太刀筋が通る。腐臭の混ざる血しぶきが散った。
重く――歪に再生していた翼の1つが切断される。斬撃が硬い鱗を両断した。
鋭く――わずかに捉えた関節の間を刃が断つ。重い身体を支えていた後ろ脚が崩れ、巨大な身体が倒れ込んだ。
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