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ふみさんの出血騒ぎから、2か月後。
私は、ぶち切れました。
良くして下さるかたからは「穏やかだね」と言われますが、その実、私は大変短気でございます。些細なことで怒りが爆発しやすく、自分でも驚くほど持続するのです。
そういうわけで、ぶち切れました。
「ふみさんはアームカバーがないから、洗濯の回数は少なめにしましょう」
それが、職員共通の意識です。衛生上の観点から本当は良くないことなのですが、仕方ありません。
私が洗濯の担当になった日、手が空いた職員が、洗濯を手伝ってくれました。
それ自体はありがたいのですが、その職員は、前日洗濯した、ふみさんのアームカバーをまたこの日も洗濯してしまったのです。洗濯しないでほしい、と釘を刺したにも拘わらず、です。
その上、ふみさんのアームカバーがないから居室から持ってきて、と何度も催促されました。
もともとアームカバーを余分にお持ちでない、洗い替えがないから今日は洗わないで欲しいとお話ししたのに、と私がその都度話すと、その職員は、その都度、まるで初めて聞いたかのように驚きました。
「ええ!? なんで、ないの? そんなこと言わないで探してよ!」
で、ぶち切れました。ないものは、ないんです。そんなに気になるなら自分で探したらどうですか。
その職員は最後まで、自分でどうにかしようとしませんでした。
でも、一番困るのは、ふみさんです。
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