53人が本棚に入れています
本棚に追加
「わかった。もうあなたにはあきれ果てたわ! だったら慰謝料はいらない。あなたの顔なんて二度と見たくないから、慰謝料なしで離婚してあげる。だからもう金輪際、私には関わらないで!」
私がこう啖呵を切れば、
「それはこっちのセリフだ!」
夫はこんな頓珍漢な事を言い、勝ったつもりになってイイ気になるだろう。
私の預金は夫の借金の尻拭いで全部食い潰された。独身時代に貯めたお金も、結婚後に昼も夜も働いて貯めたお金も。
そして夫はリストラされて無職無収入。しかも三百万ほどあった夫の社内預金は、私に無断で全額使い込まれていた。
その上、夫は私のパート先のスーパーで食玩を万引きして捕まり、逆切れした夫は店長を泥棒呼ばわり。
駆け付けた警官に連行されそうになると、
「俺じゃない! コイツが泥棒だ!」
と店長を指差して自分の身代わりに逮捕させようとしたのである。
だがそんな嘘は警官には通用しない。
「お前のせいだぞ、卑怯者ーッ!」
夫はなぜか私を憎悪の目で罵倒しながら連行されて行ったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!