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◆◇◆
その日、無事に帰宅した相馬は手の中の戦利品を持って早々に寝室へと引きこもった。
「森崎先輩の匂い……はぁ、だめ……興奮する」
買ってもらったスエットを下ろし、ベッドに腰を下ろしたまま自らの手で扱く。借りたコートに顔を埋め、匂いを嗅いで。首の所がやはり匂いが強い。
「んっ、はぁ……今日はなんてラッキーなんだろう。先輩の手が俺のに触れてくれた。あんなの、興奮で昇天するの当たり前だよ」
握り込み、おかずは先程の電車の中。拳がゴリゴリ股間に当って刺激する。筋が、カリが擦れてたまらなかった。申し訳なく、ちょっと焦って見上げてくる目。あんな可愛い目を見たら、どうしようもなく疼いてしまう。
「はぁ……ダメ、早くブチ犯したい……先輩……先輩っ」
何度この歪んだ欲望で抜いたかしれない。初めて会ったときからタイプだった。小柄で、少し目つきが悪くて。一瞬ヤンキー上がりかと思ったけれど、根は真面目で面倒見が良くて控え目で。
こんな人が彼女無しなんて、女はどこに目をつけて生きてるんだろう。見た目に派手ではないし、小柄だけれどそれがいいじゃないか。腕の中にすっぽりと収まってしまいそうな体。あの体を欲望に染め、快楽を流し込んで喘がせてみたい。そういう欲望が疼いてたまらない。
でもきっと、従順で頼りない後輩が好きなんだと分かった。甘やかしたいタイプだ。だからあの人の前ではそれを演じている。
「早く、落ちてこないかな……そうしたら沢山、気持ちいいこと教えてあげる」
後ろの孔が縦割れするくらいセックスして、気持ち良くして、だらしない蕩け顔晒して欲しい。
「くっ、やっぱおかずが新鮮だと早い。先輩……んぅ! ふっ、あっ!」
咄嗟に手に取ったのは崎森の貸してくれたハンカチだった。既に自分の物を拭ったからドロドロだし、今更だ。
ぐっしょりと濡れたハンカチを見て、相馬はニヤリと笑った。
「これじゃ、返せないよね。ハンカチは申し訳ないから、新しいのを買いますね」
そしてこれはそのまま宝物に。
「ふふっ……あ、はは。あー、楽しいなぁ!」
本当に楽しい。明日、どんな顔をするのだろう。加害者の顔で申し訳なさそうなら、食事にでも誘ってみようか。勿論、可愛い後輩の顔で。
「くくっ、ちゃんと逃げなきゃダメですよ、先輩」
そう呟く相馬の目は、明らかに捕食者の目をしていた。
END
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