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◆◇◆
あれから二年、俺は時々彼を見に行く。
兄貴が心配した通り、彼は鈍くさいしドジだと思う。あと、とにかく人がいい。積極的な親切ではなくても、押し切られて引き受けてしまう。いように使われている。
いい子だと思う。あの兄貴の遺伝子が入っているのか疑問なくらい弱い、いい子だ。
いい加減見ているだけというのももどかしくなったあの日、駅で彼は困っていた。手の平を見て、悔しそうに握りしめて。
この子は笑えばきっと可愛い。素直だから、優しさに優しさで返してくれるだろう。泣かない我慢なんて本当は似合わないんだ。
歳は確か、二十一になったか。それならもう、この手を伸ばしてもいいのかもしれない。今までずっと見ているだけだった、あの人の忘れ形見に。
「大丈夫?」
これは、俺があの子に触れる最初の言葉だった。
END
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