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◆◇◆
俺が迷子の白竜を拾ったのは、もう10年くらい前だった。
その頃俺は故郷を離れて冒険者になったばかりで、正直弱かった。一人で食べていくのもギリで、宿は取らず野宿が多かった。まぁ、それは今もか。
その頃、深い森の中で泣きべそをかいているドラゴンのチビを見つけた。
どうやら親からはぐれたらしく、まだ飛ぶこともままならないそいつを俺は拾った。冒険者の宿にでも預けて、適切な場所にと最初は思っていたが、訳あってやめた。
それというのも、ドラゴンは高い魔力を持つ上位種であり、鱗や髭、翼どころか、歯や骨までが強い防具や武器、アクセサリーの材料となる。こんな小さなチビドラゴンじゃあっという間に素材になると知ったんだ。
俺はこのチビドラゴンにヒューイと名を付けて、肩に乗せて旅する事に決めた。
それから10年、俺はいい年になっているが今も旅を続けている。目的はあまりないが、一応はヒューイの嫁探しと安住の地の確保だ。
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