普通に不通

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普通に不通

「マジで! 詩織から? もう、お土産足りなくない?」 「え! そこ?」  昼休み。詩織は屋上で心亜に詳しい報告を迫られた。デートの後にお礼の言葉は送ったが、ある意味恩人なのだから当然の権利とも言えた。 「それで、それで?」 「私が待ってるって言ったら、瑛太が絶対に忘れないって。それで別れた。それっきり」  詩織はふぅと溜息をついた。  今日も校門に瑛太はいない。 「で? 連絡取れなくなって、もう3日も経つんですけど。彼、いや奴はどうしたの?」 「もう行っちゃったんじゃない」  心亜の問いに、詩織は掌で飛行機の真似をした。 「(かる)っ! それでいい訳?」 ――良くなんてないけど。  詩織は両手を上げて肩をすぼめる事しか出来なかった。 「そうだ! ちょっと付き合って」  心亜に言われるがままに付いてゆくと、そこは病院だった。 「ちょっと待ってて、俯いててね」  20分ほどして真剣な顔をした心亜が戻ってきた。 「行こう詩織!」 「え、何? どうしたの?」 「行きながら話す」  胸がザワついて頷き立ち上がると、こちらを見ている看護師さんがいた。自然と会釈をして病院を出た。 「さっきのが、前に話したお義姉さん。やっぱり彼来てたよ。個人情報だけど、詩織の姿が痛々しくて教えてくれた。いい詩織。これから彼の家に向かうけど、それまで落ち着いて話を聞いてね」
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