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見えるものは順調
「な~んか順調そうじゃない」
「なんで不満そうなのよっ」
朝の通学路で、並んで歩く心亜を肩で小突くと、お互いに吹き出した。
「ありがとねホント」
「まあ最後に帰ってくるのは私の所だしね」
「なにそれ~」
詩織は笑いながら、心亜が親友で良かったと心から思えた。
「時々、話が噛み合わない時があるんだけどね」
「それ問題じゃない? そういうのは言ってよ。私から彼に言ってあげるから」
目の色を変える心亜に慌てて否定した。
「意見が合わないとかじゃないから大丈夫。逆に何処へ行くにも、何をするにも、ずっと私の意見を聞いてくれる。瑛太の想い出づくりなのにいいのって聞いたら、俺が欲しいのは自分だけの想い出じゃなくて、詩織と一緒の想い出だからって」
「うわ! 惚気け!」
心亜が身を引いて両手で口を抑える。
「違うってば。あんな事あったよね。とか、あの時こうしたよね。て話になる事あるでしょ? そしたら、そうだったっけて言われる事が多い気がするんだ。小さな事だからいんだけどさ」
「うーん。さっきの彼のセリフに伴ってない気がするけど。まあ全部覚えてろとは言えないしね」
「ねー」
二人は顔を見合わせて苦笑いすると、心亜が何かを思い出したかのように手を叩いた。
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